全校生徒からハブられた話⑮
それから徐々に徐々に
必要最低限の会話から談笑的な会話も増えていってた
けどある日、班で行う掃除を終えたのち
班のところに戻ると
みんなで10円玉を投げて裏表を当てるゲームをしてた
私が戻ったのをみるや否や
「椛も投げてみてよ!」って言われて
なんとも思わずに10円玉を受け取ったんだけど
みんなが異様にニヤニヤした顔で
こっちを見てきてて
それがなんだか嫌な予感を駆り立てて
「やらない」って拒否した。
それでもみんながやってやって!
とうるさくて、しかも執念くて
嫌な予感はするけどそれは気のせいかもしれないし
やってやってと言われ続けてるだけで苦痛で
1回だけ!!
って繰り返される言葉に応じて
1回だけ…と思って10円玉を投げた。
飛んだ10円玉をキャッチするまでもなく
10円玉が飛ぶのを見るなり
みんなが一斉に「かわいいー!!!」って言ってきた。
やっぱり。
って思った。
「ぶりっこ」って言って虐められていた私にとって
かわいいは褒め言葉でなくいじめだった。
し、実際この時のかわいいはいじめ要素の混じった
かわいいだった。
今思うのは、あの時私は彼らに
コンテンツとして消費されたんだなって事。
そう思ったら涙が止まらなくなった。
一人で泣く事はあったけど、学校で、人前で
泣くのは初めてだった。
勝手に涙が溢れ続けて
掃除が終わっても止まらなかった。
慰めてくれる子は、誰もいなかった。